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人工透析
dialysis

人工透析とは

腎機能が著しく低下すると、十分な濾過機能が果たせなくなり、体じゅうに老廃物が溜まって尿毒症*になってしまいます。老廃物や毒素などの尿毒症物質を取り除いて尿毒症を防ぐために必要になってくるのが、人工透析です。人工透析とは、腎不全の末期症状において、低下した腎機能を人工的に代理する治療のことです。

透析は、失われた腎機能を代替して体内環境を整え、これから先の生活、ひいては人生を充実させてくれる治療法です。透析を受けながら仕事を続けている方は大勢おられますし、旅行や趣味などを楽しみながら、いきいきと毎日を過ごしておられる方もたくさんいらっしゃいます。ですから、透析が必要となった場合にも、どうか前向きな気持ちで、この治療法を受け入れてください。

*尿毒症
腎機能が正常な時の10分の1以下まで低下し、本来なら排出されるべき毒素や老廃物が血液中に蓄積することによって起こる一群の症状(症候群)です。脳症状や胃腸障害をはじめ、全身にわたって、多様な症状が出現します。

透析療法について

腎臓の働きが「10%以下」になると、血液の濾過が十分に行えず、水分や老廃物のコントロールができなくなってしまいます。そのような場合に、人工的に血液の浄化を行うのが、透析療法です。

透析療法の開始時期
腎不全による症状や日常生活への影響(仕事や家事、生活動作、日常生活への支障)などを考慮して、一番適切と思われる時期を判断します。一般論的には、原因疾患が糖尿病性腎症や腎硬化症の場合やお年寄りでは、他の疾患(腎炎など)による場合や若い方に比べ、より早期に透析を受けていただく傾向があります。

血液透析療法

人工腎臓とも言える血液透析器(ダイアライザー)を通して、血液を体内から取り出し、血液中の毒素や老廃物、余分な水分を取り除き、不足している電解質などの交換をして血液を正常な状態にし、きれいになった血液を体内に戻す方法です。

オンラインHDF療法

HDFとは、通常の透析(HD)に血液の濾過(F)を加えた治療法(血液濾過透析)で、腎臓の働きに近い透析法と言えます。
HDFでは、濾過する量を増やすために補液をし、血液透析よりも濾過をたくさん行うことによって、血液透析では取り除きにくい低中分子たんぱくと言われる物質までを取り除くことができます。また、腎臓の役目をする透析膜も高性能膜を使用することが可能で、老廃物の効率の良い除去が可能です。

オンラインHDFは透析液をそのまま補液として使用するため、濾過のために足される補液量が多くなります(24〜48Lくらい)。そのため、オンラインHDFのほうが、より多くの濾過を行うことができ、つまりはより多くの老廃物を取り除くことが可能になるのです。
また、透析を長期にわたって続けていると起こってくる合併症に透析アミロイドーシスがあります。これはβ2-ミクログロブリンを原料とするアミロイド線維が関節や骨に沈着して神経を圧迫することによって生じる骨・関節障害の総称で、手の痺れや、手指の動きの障害、肩の痛みといった症状が現れてきます。例えば、手首の靱帯や腱の滑膜にアミロイド線維が沈着すると、周囲に炎症が起きて近くの正中神経を圧迫するため、手指の痛みや痺れ、親指の動きに支障をきたします(手根管症候群)。

オンラインHDFでは、β2-ミクログロブリンを積極的に取り除き、透析アミロイドーシスを予防することができます。
ただし、オンラインHDFを行うには、きれいな透析液を使用することが絶対条件ですので、厳重な透析液の水質管理が必要になってきます。


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