糖尿病
糖尿病は、なんらかの原因でブドウ糖(血糖)を上手に細胞に取り込めなくなり、血液中のブドウ糖が増えてだぶつき、高血糖となる慢性疾患です。血糖濃度のいつも高い状態が続くと、血管をはじめとする全身の組織に悪い影響が及んできます。
高血圧
高血圧とは、血圧(心臓から送り出された血液が血管に加える圧力のこと)がある程度の範囲を超えて高く維持されている状態です(診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上、「高血圧治療ガイドライン2009」日本高血圧学会)。
高血圧は日本人にはとても多い疾患で、40~74歳の人のうち男性は約6割、女性は約4割が高血圧と言われます。
高血圧は放っておくと、常に血管に圧力が加わって、動脈が傷みやすく、動脈硬化の原因になるのが大きな問題です。それと同時に、血液を高い圧力で送り出しているのは心臓ですから、心臓が多くのエネルギーを必要とし、疲弊しやすくなります。つまり高血圧は、血管や心臓などの臓器に障害をもたらすのです。その結果、心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気を招いたり、脳卒中(脳出血、脳梗塞など)の原因になったりします。最近の研究により、特に脳卒中は、男女を問わず高血圧の影響が大きいことが明らかにされています。
高血圧そのものは無症状のことが多いので、日々の血圧測定や健康診断などを通じて早期に発見し、早めに対策を打つことが大切です。
腎臓にも負担がかかります
腎臓も血圧の影響を大きく受ける臓器です。腎臓は、血液の中から老廃物や有害な物質を濾過して取り出し、それを尿にして体外に排出する働きを担っています。腎臓で血液を濾過する部分は、毛細血管のかたまりのようになっています。高血圧の状態が続くと、毛細血管に動脈硬化が起こって血流が悪くなり、腎臓の働きは低下してしまいます。
脂質異常症
脂質異常症(高脂血症)というのは、血液中の脂質、具体的には「コレステロール」や「中性脂肪(トリグリセライドなど)」の濃度が慢性的に高い状態のことです。 脂質異常症には、大きく分けて次の3つのタイプがあります。
- 高LDLコレステロール血症
- 低HDLコレステロール血症
- 高トリグリセライド(TG)血症
脂質異常症を放置すると、増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まって動脈硬化の進行を促してしまい、ついには心筋梗塞や脳梗塞の発作の原因となってしまいます。 また、高血圧などと同様に自覚症状が無いため、健康診断などの機会を利用して、早い段階で見つけることが大切です。
高尿酸血症(痛風)
痛風は、その発症前に血中の尿酸値が高い状態、つまり「高尿酸血症」が長く続きます。それを放置すると、尿酸が関節の中で固まって結晶になるため関節炎を起こし、ある日突然、足の親指の付け根などの関節(体温の低い箇所が好発部位)が赤く腫れて痛み出します。その痛みは耐えがたいほどで、「痛風」という病名には「風に吹かれただけでも痛い」という意味合いが込められています。痛風発作(痛風関節炎)が起きたら、まずは、その発作を鎮める治療が行われます(痛み止めやコルヒチン(白血球の活動を抑えて、炎症反応を鎮め、発作を予防する痛風予防薬)の処方など)。
痛風を起こす人は、起こさない人よりも心筋梗塞や脳梗塞になりやすいことが知られています。これは、痛風に糖尿病や高血圧、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病が合併しやすく、そうすると動脈硬化が加速度的に進むためと考えられています(尿酸値が高いこと自体によるとする説もあります)。
尿酸と腎機能障害
尿酸の結晶が腎臓の中に溜まることによって、腎臓の働きが低下してきます。また、尿酸の結晶が腎臓に溜まっていなくても、高尿酸血症のために腎臓の働きが低下をきたすケースもあります。腎臓の働きが低下すると、尿酸の排泄力がさらに弱まり、尿酸値がいっそう高くなる、という悪循環が生まれます。